2009年03月27日

北朝鮮ミサイル問題

北朝鮮のミサイル実験は、失敗してくれるほうが世界にとってありがたい。
 何でかって言うと、成功されると後々面倒だから。国連安保理では中国とロシアが非難決議に及び腰です。この二国は、北朝鮮の体制が崩壊すると数十万単位での難民が押し寄せてくるという危機意識があるわけです。国境地域での面倒事はごめんですよと。
 実際には、北朝鮮がどんなに脅そうと、むしろ非難の度合いを強くするほうが効果があるのですが。現状のチキンレース状態で、北朝鮮も引く気ゼロってのが面倒なんで。落としどころがまだ見えていない。

 で、何が一番いいかというと、ミサイル発射の失敗。勝手に失敗してくれれば、北朝鮮がアメリカを脅すカードが減ります。
 そこで最も期待されているのが自衛隊のSM-3ミサイルです。ミサイルの発射を、積極的に失敗させる事。ここで迎撃に成功したとき、SM-3を発射した事を公開して自慢しても良いのですが、最善は、公式には発射していない事にする。北朝鮮が勝手に失敗したんだよ、ということにする。もちろん、非公式レベルで北朝鮮には撃墜したということは匂わせてもいい。
 なんで非公開がいいかというと、公式にはSM-3を発射していない事にすれば、撃墜に対する北朝鮮の非難をかわせるからです。北朝鮮は態度を硬化させるでしょうが、「勝手に失敗しておいて何言ってんの?」ということができる。

 テポドンの発射に成功した場合、国連安保理は批判の文言をめぐって揉めるでしょうが、勝手に失敗したのなら、その文言は穏やかなものにとどめる事ができ、北朝鮮を六カ国協議の場に引きずり出せる。
 日本が独自に撃墜したのなら、安保理のどの国も、日本が撃墜した事を非難することなく、北朝鮮も攻めない、という態度を取る事ができます。すなわち、表面上は北朝鮮に譲歩しながら、裏では北の弾道ミサイル開発は容認しない、というメッセージを発する事ができる。
 ついでに、自衛隊がアメリカに対して大きな貸しを作ることもできるので日本の外交・防衛上もウマー、というわけ。

 政府やマスコミは、日本に対する危機という形で煽ってますが、そんな危機はない。しかし、ここで日本が北朝鮮の弾道ミサイルを打ち落とせれば、日本の危機管理能力は国際的に高く評価されるかも知れません。実際にはいつも通りアメリカの言いなりで迎撃に向けて準備しているのでしょうが。

 補記:
 今、手元に軍事評論家の江畑謙介氏の書いた「これからの戦争・兵器・軍隊(下)」という本があるのですが、これによると、前々回のテポドン1号(日本の頭上を飛んで行って、北朝鮮は「人工衛星」と主張したやつ)は、北朝鮮の建国50周年と金正日の誕生日を祝って作り上げた急ごしらえのロケットであるとのこと。尤も、衛星発射用のロケットと弾道ミサイルはほとんど同じで、弾頭が大気圏に再突入したときの耐熱構造が違うというくらいしかないらしいので、脅威といえば脅威なのですが。今回の発射にはそんな要素は見られないようなので、まあ、軍事的な威嚇目的なのでしょう。

 ただ、実際問題、固定式の発射塔で一ヶ月もかけて組み立てるようなミサイルに軍事的な価値があるかどうかというと、非常に怪しいわけです。戦争状態になったら、米軍がステルス機でさっさと飛んでいって空爆してしまえば打ち上げ不能に陥るのですから。そもそもテポドンは核弾頭を搭載できるほどの能力がない。よほど核弾頭の小型化に成功したなら話は別ですが、それは技術的障壁がかなり高い。

 北朝鮮が狙い通りミサイル打ち上げに成功してしまうと、あとの安保理の非難声明の取りまとめが難航する上、六カ国協議の停滞および北朝鮮の核開発が更に進展してしまうので面倒です。

 私の見立てでは、北朝鮮での紛争発生まであと4ステップって状態なのではないかなと。ここは一つ、自衛隊による迎撃成功を祈るのみです。
posted by 海風 at 23:56| 危機管理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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