2009年04月03日

北朝鮮テポドン2の発射が失敗するとしたら

どのようなパターンが考えられるかいろいろ検討してみた。

失敗の要素として考えられるもの( )内は発生の可能性
1.機体の強度不足(極小)
2.一段目エンジンの強度不足(中)
3.一段目のエンジン燃焼の不釣合い(大)
4.一段目燃焼中の予定軌道からの緩やかな乖離(大)
5.一段目切り離しの失敗(小)
6.二段目点火の失敗(不明)
7.三段目切り離しの失敗(小)
8.三段目点火の失敗(どうでもいい)

今回のロケットは前回の失敗にもかかわらず、更に大型化した新開発のロケットとなっているため、不確定要素は大きいと思う。

1.機体の強度不足について(極小)
 よほど技術的に疲弊していない限り、これは考えられない。
 この場合、打ち上げ時あるいは飛行中の振動で各段の接続部分が外れる、あるいは折れるなどの可能性がある。
 あるいは、ロケットを軽くしようとして燃料タンクの壁を薄くしすぎて、燃料が減ってきた所でロケットの筒自体が座屈する可能性。
 機体の材料の品質がよほど粗悪な場合も同様な問題が発生するかもしれない。
 この場合、空中で素直に爆発してくれれば良いけど、有毒なヒドラジン燃料が撒き散らされると困る。
 いずれにせよ、これが起きるのはあまりにも初歩的な問題なので可能性はほとんど無い。

2.一段目エンジンの強度不足(中)
 日本のロケットでもこれで苦労している。もっとも、極低温の液体酸素・水素エンジンと常温のヒドラジン燃料のエンジンを同一に扱う事はできないが。
 今回、ロケットが大型化しているため、一段目エンジンの負荷は大きい。それに耐えられるかどうかは微妙な所ではないかと思う。
 ただし、一段目が中国の対艦ミサイルを流用したものであるならば、この事故が起きる可能性は低い。
 この問題が発生した場合、第一弾エンジン燃焼中にエンジンが爆発する。燃焼後期に行くほどそのリスクは大きい。

3.一段目のエンジン燃焼の不釣合い(大)
 これは一段目エンジンが複数ある場合に考えられる。
 この問題が発生した結果どうなるかというと、
 1)飛行コースから外れる。→SM-3で迎撃
 不釣合いが小さく、とにかく衛星が上がればよいと北朝鮮技術者が考えている場合に起きる。
 2)蛇行しながら飛ぶ。→SM-3で迎撃
 エンジンの出力バランスを取ろうとして、あるいは姿勢制御で抑えきれない場合。発射のエネルギーが無駄に消費されるため、一段目の燃焼終了、切り離しが早まり、落下地点が北朝鮮寄りになる。
 3)蛇行はしないが横滑りするように飛ぶ。→様子見。
 エンジン出力のアンバランスが、姿勢制御で抑えられるレベルの場合。飛行コースは外れないものの、2)と同様、切り離しの早期化、落下地点が北朝鮮側に寄る、という結果を招く。見た目上は予定通りの飛行コースとなるため、迎撃の必要はなし。

4.一段目燃焼中の予定軌道からの緩やかな乖離(大)→SM-3で迎撃。
 上記3.の1)の場合の他、制御プログラムがおかしい場合、あるいはセンサー類の不調時に発生する。

5.一段目切り離しの失敗(小)
 さすがに前回の失敗を繰り返す事は無いだろうと思うので可能性は小、で。ただ、前回の発射実験でちゃんとデータが取れてなければ、同じ失敗を繰り返す可能性はある。結果は前回同様、ロケット全体が日本海に落ちる。

6.二段目点火の失敗(小)
 今回は2段目にノドンミサイルを使用している。エンジンの構造自体は前々回に成功したテポドン1号の2段目、スカッドと同等なのでこの可能性は小さい。
 失敗した場合、1段目と仲良く日本海に落ちてくる。この場合、落ちる途中で点火してあさっての方向に飛ばないように、SM-3で迎撃する必要がある。

7.三段目切り離しの失敗(小)
8.三段目点火の失敗(どうでもいい)
 ここから先はアメリカの範疇なのでどうでもいい。

さて、明日の打ち上げに備えて、ロシアも予定軌道を外れて飛んできたら迎撃する予定のようだ。
今回のロケットは、2段目の燃焼終了まで行けば北朝鮮にとっては十分成功といえる。(アメリカを威嚇する意味で)
この先はアメリカの危機管理能力の問題であり、日本は知ったこっちゃない。


今回のロケット発射について、中国とロシアは北朝鮮に対し非常に弱腰で、特に中国は北朝鮮擁護の姿勢が強い。ロケットが発射されれば、一段目の構造も単一エンジンか、複数のエンジンを束ねたものか分かるだろう。
打ち上げが失敗し、爆発せずに日本海に落ちるなら、できれば迎撃するよりも、ロケットを日本が回収して技術力の検証に利用する事が望ましい。日本は過去にビキニ水爆実験で被爆した第五福竜丸に残っていた死の灰から、アメリカの開発した水爆の構造を暴露する事に成功している。(もちろんアメリカからは強いクレームが来た)
これができれば、Mig-25亡命事件のように、北朝鮮、及び中国への強い牽制となるだろう。
ただし、この場合北朝鮮はもう一度核実験を行うだろう。その場合は遠慮なく安保理による制裁発動である。

いずれにせよ、ロケット発射実験以降、北朝鮮への制裁に対し、中国が難色を示すのなら、日本としては中国に対し、北朝鮮物品の中国経由の輸入禁止の姿勢も示さなければならないだろう。

今日の金融サミットでも租税回避地のブラックリストが公表された。ここに中国のマカオ・香港は入っていない。中国に対する圧力として、日本はこの2箇所をブラックリストに入れるよう主張するという外交カードが残されている。これを利用しない手は無い。
posted by 海風 at 23:11| 危機管理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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